高融点材(モリブデン・タングステン・タンタル)を軸に一般金属からセラミックスまで『削る』・『切る』・『曲げる』・『繋げる』・『磨く』などすべてのあらゆる加工に対応しています。
切削が難しい理由
タングステンは、あらゆる金属材料の中で最も融点が高く、卓越した耐熱性を誇ります。また、非常に硬度が高く、中でも炭素と結びつくことで生成される「炭化タングステン」はダイヤモンドに次ぐ硬度を持っています。さらに、比重が19.3と非常に重く、その重量は鉄の約2.5倍にもなります。以上の点から工具摩耗や破損といった懸念が多く、タングステンは切削加工が難しい素材です。
切削加工の注意点ポイント
タングステンの切削加工には、超硬素材やサーメット素材の工具が適しています。超硬素材であれば、硬度や靭性のあるものを選定すると良いでしょう。
また、切削条件としては、荒加工時には湿式加工(切削油・クーラントを使用しての加工)、仕上げ加工時には乾式加工(切削油・クーラントを使用しない加工)を用いるのが適切です。仕上げ加工時に湿式加工を行うと、素材に対して工具が逃げてしまい、仕上げ面の精度を出すことが難しくなってしまいます。
タングステンは素材の硬度が高いため、急激な工具摩耗は避けられません。従って切削加工の際には、素早い加工と工具交換の見極めが重要です。
金属タングステンは体心立体格子を有し、常温では非常に脆く硬度が高いため、曲げ加工と言われる板金加工作業は困難と言われています。しかし遷移温度以上に加熱することによって延性を帯びていき、加工性が上がります。
一方でタングステンを再結晶温度以上に加熱すると結晶粒子が成長し組織が肥大し、強度と硬度が著しく低下してしまいます。よって板金加工作業に推奨できる温度範囲は脆さ延性遷移温度以上であり、且つ再結晶温度以下の200℃~500℃程度を推奨しています。
融点 | K | 3683 | |
沸点 | K | 5930 | |
密度(20℃) | g/cm3 | 19.3 | |
熱膨張係数 | 20℃ | 10-6/K | 4.36 |
20℃から1000℃ | 4.67 | ||
20℃から2000℃ | 5.33 | ||
20℃から3000℃ | 6.37 | ||
比熱(20℃) | J/g・K | 0.13 | |
比電気抵抗(20℃) | Ω・mm2/m | 0.055 | |
熱伝導率 | W/m・k | 174 |
空気及び酸素 | 約400℃まで | 安定 |
400℃以上 | 酸化物形成 | |
700℃以上 | WO3を形成 | |
水蒸気 | 700℃以上 | 酸化反応 |
水素(H2) | 超高温まで | 安定 |
窒素(N2) | 約2000℃まで | 安定 |
2000℃以上 | 窒化物形成 | |
不活性ガス類 | 超高温まで | 安定 |
炭化水素(CnH2n) | 900℃以上 | 炭化物形成 |
一酸化炭素(CO) | 1400℃以上 | 炭化物形成 |
二酸化炭素(CO2) | 1200℃以上 | 酸化物形成 |
二酸化硫黄(SO2) | 700℃以上 | 酸化物形成 |
カーボン(C) | 1400℃以上で接触 | 炭化物形成 |
アルミナ(Al2O3) | 1900℃まで | 安定 |
ジルコニア(ZrO2) | 1600℃まで | 安定 |
トリア(ThO2) | 2200℃まで | 安定 |
ベリリア(BeO) | 2000℃まで | 安定 |
標準タイプ | 高強度タイプ | 軽量タイプ | 高弾性タイプ | 効率的タイプ | |
密度(g/cm³) | 6.25 | 6.25 | 4.6 | 4.2 | 11.6 |
引っ張り強度(Mpa) | 8.7 | 13.4 | 8.1 | 13.6 | 5.9 |
300%伸び力(Mpa) | 4.5 | 8.5 | 3.5 | 4.2 | — |
伸び率(%) | 540 | 590 | 600 | 650 | 25 |
引っ張り強度(kN/m) | 21 | 51 | 34 | 28 | 18 |
硬度(A) | 55 | 68 | 60 | 63 | 95 |
重量(Kg/㎡) | 6.25 | 6.25 | 4.6 | 4.2 | 11.6 |
鉛相当量(mmPb/mm) | 0.5 | 0.58 | 0.55 | 0.37 | 1.15 |
長さ(m) | 0~20 | ||||
広さ(mm) | 1~1200 | ||||
厚さ(mm) | 0.5~5 |